苗字の実在と読みの調べ方
① 下記のサイトを開き、求める苗字を検索してみると、全国の電話帳にその苗字が何件載っているかが分かる。その件数を5倍したものが全国人数に近いと考えてよい。

http://www2.nipponsoft.co.jp/bldoko/index.asp

② 上記のサイトでは、個々の苗字がどこの電話帳に載っているかが市町村別に分かるので、図書館などに行き、紙の電話帳(ハローページ個人名)でその苗字を探してみる。電話帳には読み方が明記されていないが、五十音順のどこに記載されているかを見れば、読み方はたいてい分かる。下記には、全国の最新の電話帳をすべてそろえてある所の一覧がある。

http://tpnet.ntt-tp.co.jp/zenkoku/etsuran/index.html

③ 苗字辞典や苗字サイトも、どんな読み方がありうるかを調べるには役に立つ。しかし、どんなに探しても見つからない読み方も多い。これは、思いついた読み方や聞きかじった読み方を検証もせずに載せている苗字辞典や苗字サイトが多いからである。
読み方が多いと「よく調べてある」と誤解する人が多いが、むやみに読みが多いのは、逆に「きちんと調べていない」証拠であることが多い。たとえば、「○谷」という苗字があって「谷」の読み方がタニかダニかヤか特定できないとき、どれかが当たるだろうとそのすべてを載せてしまう苗字辞典が多いが、その苗字が全国の電話帳に1、2件しかない場合など、そのすべてがあるとは考えられない。

 電子電話帳はハローページをスキャンして作られている。そのため、スキャンミスにより他の字に置き換えられていたり、姓名の切れ目を間違えていたりするために見つからないこともある。ただし、このようなケースは、電話帳に当たって調べてきた体験から、かなり稀だということができる。電子電話帳で全国1件しかない苗字でこのようなミスが確認されたときは、その苗字自体が実在しないとほぼ断定できる。読み方がほぼ特定できる苗字であっても、このような例に該当せずに実在することを確かめるために、電話帳に当たってみることが必要である。

④ 電話帳では、「谷川」が「たにかわ」か「たにがわ」かというような連濁の有無はめったに分からないし、人口の少ない市町村では対照される苗字が少ないため、読みが特定できないことがある。電話帳では各ページの最初と最後の苗字については読み方が欄外に記されているが、電話帳の一ページには400件ほどが載っているので、これで連濁の有無などが分かる確率は200分の1ほどしか無い。それよりハローページで連濁の有無が分かるのは、下の名前が五十音順で一通り終わったあとに改めて五十音順で並んでいるときである。前にあるのが清音、あとにあるのが濁音と考えていいが、1件しか記載の無い場合は特定できない。

⑤ 電話帳で特定できなかった読み方は、補助的な手段としてウェブ検索で調べる。ウェブ上にはペンネームや架空の人名がよく見られるが、こういうのは、そのページを開かなくても、検索結果の文章だけでもだいたい排除できる。問題は、実在の人名として載ってるものの中に、漢字表記や読み方が間違っているものもあるということである。自治体の広報誌に読み方つきで載っていたり、企業の公式サイトの社長挨拶に苗字の読み方が載っていたりして、その読み方が電話帳の掲載位置と矛盾しないときには、苗字の読み方は証明できたといってよい。ウェブは宝の山であるとともにゴミの山でもあるので、宝とゴミを見分けるにはそれなりの経験が必要となる。

⑥ 稀な苗字で電話帳で実在や読み方が確認できなかった苗字は、古い電話帳で確認した。古い電話帳は東京の国会図書館が全国のものを揃えているが、首都圏在住でない場合は、県立図書館などが地元の古い電話帳を揃えていることが多いので、地元の図書館にメールで問い合わせて五十音のどこにあり、前後の苗字が何かを回答してもらい読み方を特定する。

⑦ 当サイトは、以上のような方法で実在と読み方が確認できた苗字のみ載せている。全国人数欄に「補」と記したもの以外は、すべて電子電話帳『写録宝夢巣』Ver.8(ウェブ上の写録宝夢巣より古く、したがって収録数も多い)に記載のあるものである。「補」と記した苗字は、写録宝夢巣の他のバージョンなどをもとに、電話帳で確認したものや、信頼できるウェブページで個人が見つかったものである。後者の例としては、学校の公式サイトに教員が苗字の読み方つきで紹介されているような場合が挙げられる。

⑧ 当サイトが行ってきた検証方法は、根気さえあれば誰にでもできる。当サイトのデータは、誰にでも検証が可能なデータであることを強調しておきたい。

⑨ 苗字の読み方について、国や自治体による公式のデータを求めても無理である。自分の戸籍を取り寄せてみれば分かるとおり、日本の戸籍は漢字表記がすべてで、読み方は一切記されていない。正しい読み方かどうかは、本人がそう名のっているかどうかで判断するほかはないのだから、そこにお上や学者の権威が割り込む余地は無い。本人からの申し出によって記載され、頻繁に更新されるために本人のチェックも受けている電話帳の信頼度は高いと考えてよい。
苗字辞典、苗字本、苗字サイトの問題点
 苗字の実在と読み方をどのようにして確かめているかを記した苗字辞典・苗字本は、残念ながら皆無であるといってよい。「日本苗字大辞典」(丹羽基二氏・芳文館)や日外アソシエーツの「苗字8万読み方辞典」は収録数の多さを誇っており、公共の図書館や大学の図書館にまで鎮座しているが、この点では同じで、収録数が多い(多すぎる)だけに、実在の疑わしい苗字や読み方が少なからず含まれていると考えてよい。電話帳やウェブ検索で確認できないものが、即実在しないというわけではないが、確認できてないものを掲載するのは、良心的とはいえない。

 苗字辞典や苗字本の良し悪しや真贋を見分ける方法として、当サイトが行っている検証法に勝るものは無い。著者や出版社の権威などは、当てにならず、信じるか信じないかという問題になってしまう。

 苗字サイトには電子電話帳をもとにしたものが多い。そのため、苗字本や苗字辞典にあるような根も葉もない苗字は見られないが、スキャンミスや姓名の切り違いなどの電子電話帳のミスをチェックしているサイトは当サイト以外には見当たらない。また、芸名や筆名でないかというチェックも行われていない。それ以上に問題なのは、読み方については、苗字本や苗字辞典に依存しているサイトが多いことで、実在しない読み方がたくさん混入している。また、読み方を羅列するだけなので、どの読み方が一般的なのかも分からない。

 CDとして発売されている電子電話帳ではフルネームが分かる。芸名・筆名などは、ウェブでフルネームで検索(ウェブ)すると、別に本名が記されているなどで、本名でないことが確認できることが多い。

 どの読み方が多いかということは、少ない苗字であれば電子電話帳にある全件を紙の電話帳で調べることで分かる。多い苗字の場合も同様だが、個人で調べるのは物理的に難しいが、多いだけに人事興信録などの資料によるサンプリング調査で代用できる。

 「日本苗字大辞典」のような収録数の多い辞典が権威とされていることは問題で、これが実在しない苗字や読みのタネ本となっており、難読姓などを集めた辞典などでは過半数が実在しない苗字、いわゆる幽霊苗字であることも多い。読み方についても「一」という苗字は電話帳では「はじめ」「かず」「いち」しか確認できず、世に広まっている「にのまえ」という読み方は1件も確認できなかった。
Facebookの問題点
 以前から日本の人口の1割ぐらいは何らかの形でウェブ上に載っていたが、facebookの普及でその比率は急速に高まっており、ハローページに1、2件しか無い苗字でもかなりヒットする。ただ、本名であることを建前とするfacebookだが、実際には2割近くが本名ではない節があり、注意が必要である。読み方はたいていアルファベットで記されているが、読み方が記されていなかったり、あだ名や略称、旧姓などである場合もあり、その場合は読みの資料としては役立たない。漢字表記さえ本名なら読みは本名どおりでないと考える人も多いのではないかと思う。

 一方でfacebookには旧字体が多い。日常は新字体を用いていても戸籍は旧字体という人は多いので、本名でという原則を生真面目に守ろうとする人も多いことを物語る。本名でなければならないという規制は電話帳には無いが、本名でないものは1%にも満たないようである。

 たとえば「市古」という苗字の読み方をウェブ検索で調べたければ、"facebook 市古"と入力してウェブ検索してみる。「いちこ」「いちご」「いちふる」という三つの読み方が出てくる。このうちどれが多いかは、"facebook 市古 ichiko"のように入力し、ichikoの部分をichigoやichifuruのように置き換えて比較してみれば分かる。

 このように、いろいろと問題の多いFacebookだが、データとしての件数が多いことは魅力である。電話帳の裏づけとして用いるのであれば大いに活用したらいいと思う。
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